機械制御
定義 においてとするとき、任意の初期状態に対して となるとき、システムは漸近安定であるという。 定理 システムが漸近安定であるための必要十分条件は行列の固有値の実部がすべて負となることである。 証明 (必要性) とおくと の固有値を、それに対応す…
初期状態が与えられたときの状態方程式と伝達関数の関係 \begin{equation} \pmb{X}(s) = \mathcal{L} [ \pmb{x}(t) ] = \begin{bmatrix} X_1(s) \\ \vdots \\ X_n(s) \end{bmatrix} \end{equation} \begin{equation} \mathcal{L}[\pmb{x}'(t)] = \begin{bmat…
簡単のため伝達関数が で与えられる場合について考察する。を部分分数展開すると ただし、 であり、 となる。ここで、 \begin{equation} \left. \begin{array}{l} X_1(s)=\frac{1}{s-p_1}U(s) \\ X_2(s)=\frac{1}{s-p_2}U(s) \\ X_3(s)=\frac{1}{(s-p_3)^3} …
伝達関数が で与えられる制御系の状態方程式モデルは、次のようにして求められる。 まず、次のような変数を定義する。 上式の分母を払って逆Laplace変換すると を得る。ここで、個の状態変数を次のように定義する。 \begin{equation} \left. \begin{array}{l…
古典制御理論ではシステムをモデル化する場合、入出力関係を表す伝達関数や周波数応答が使われてきたが、現代制御理論では、システムの内部変数にも注目した状態方程式と呼ばれる連立の1次微分方程式が基礎として用いられる。 図の1次遅れのブロック線図は …
このブロック線図で表される制御系を考える。この制御系の特性方程式は 平面上の任意の点が根軌跡上にあるための条件を求める。特性方程式は と一般に表される(の最高次の係数が1になるようにKをとれば一般性を失わない)。 より、 【根軌跡の性質1】 を出…
フィードバック系の一巡伝達関数のゲインを0から無限大まで変化させたときに、そのシステムの極が複素平面上に描く軌跡を根軌跡という。システムの極はその安定性や過渡応答特性との密接な関係にあるため、この根軌跡によってゲインの大きさがシステムの特性…
複素平面上に虚軸と原点を中心とした半径が無限大の右半円からなる閉曲線を考える(こちらは平面と呼ぶ)。点が閉曲線上を一周するとき、対応するの値が複素平面上に描く閉曲線をのNyquist線図と呼び、こちらの複素平面は平面と呼ばれる。 が閉曲線上を時計…
フィードバック制御系が実際に使用できるためには、安定でなければならないことはもちろんであるが、安定でありさえすればよいというものでもない。たとえば、一度振動が生じると、その振動が消滅するまでに長時間かかるというのでは、実用に供することはで…
フィードバック制御系のブロック線図において、前向き伝達関数、フィードバック伝達関数はともに安定な特性を持つものと仮定しておく。このブロック線図は入力信号を0とみなすと、 と表現することができる。さらにA点でループを切り開くと となる。この図に…
特性方程式 に対して行列を \begin{equation} H_n = \begin{bmatrix} a_{n-1} & a_{n-3} & a_{n-5} & \cdots & 0 \\ a_n & a_{n-2} & a_{n-4} & \cdots & 0 \\ 0 & a_{n-1} & a_{n-3} & & \vdots \\ 0 & a_n & a_{n-2} & & \vdots \\ \vdots & \vdots & & \d…
Routhの安定判別法は をもとに、Routh表と呼ばれる数表を作りその第1列の全ての要素が同符号であれば、システムが安定であるというものである。 Routhの数表の作り方を説明する。表は個の行からなり、各行の要素は以下のように定める。第1行(の行)と第2行…
プロパーな有理伝達関数をもつシステムが安定であるかどうかを判別するには、システムの極の実部が正負であるかどうかを調べればよい。伝達関数の分母多項式を0とおいた式、特性多項式の根の実部の正負を調べればよい。以後、実部が負であるような根を安定根…
【定義S2】(ステップ応答に基づく定義)有理伝達関数で記述できるシステムにおいて、そのステップ応答があらゆる時刻において無限大に発散することなく、かつ時間の経過とともにある一定値に収束するとき、すなわち適当な定数が存在して、 のとき、このシス…
【定義S1】(システムの極に基づく定義)プロパーな有理伝達関数を持つシステムにおいて、そのシステムのすべての極の実部が負であるとき、このシステムは安定であるという。実部が負である極を安定極、実部が負である零点を安定零点と呼び、実部が正である…
ボード線図はベクトルについてその大きさととの関係を1本の曲線で表しさらに、位相角ととの関係をもう1本の曲線で表現する方法を用いている。 大きさに関しては を横軸に対数表示をとった半対数方眼紙上に描く。この曲線をボード線図上のゲイン特性曲線と呼…
周波数応答は複素平面上でベクトルとして表すことができた。の値をと変化させていくと、これに対応してベクトルを図のように描くことができる。これらのベクトルのの先端を結ぶことによって得られる曲線をベクトル軌跡と呼ぶ。をまで増加させていくのにつれ…
単位インパルス応答をもつ系に正弦波入力が印加されたときの出力信号は 今、過渡現象が十分減衰した状態、を考えて、のとすると、 に注意すれば、はのFourier変換である。つまり、伝達関数をもつ系に、正弦波入力が印加されたときの、出力信号の定常値は伝達…
周波数応答とは線形定数係数回路に入力信号として正弦波入力 を印加し、十分時間が経ってからの出力信号を考えると、は同一角周波数をもつ正弦波であって、次のように表すことができる。 このとき入出力信号の振幅比および位相差は、回路構成と入力信号の角…
フィードバック制御系の過渡特性は、解析を容易にするために、インパルス入力、ステップ入力を加えたときの、過渡状態の応答から考えていく。 一次遅れ要素のインパルス応答は である。 次に、フィードバック制御系の目標値が高さのステップ関数とする。制御…
フィードバック制御系において、制御偏差の値は ここで外乱の場合を考える。 Laplace変換における最終値定理からの値は によって求めることができる。 (1)ステップ入力印加時 として高さのステップ入力が印加されたときを考える。 とおけばよいから かつの場…
制御系の特性を知ろうとする場合、制御系の応答に着目する。ある装置に対し入力信号が加えられたとき、出力側に生じる信号のことをその装置の応答という。フィードバック制御系に外部から加わる信号として、目標値と外乱の二つがある。 目標値に対する制御量…
フィードバック制御系の構成は、上図のようにまとめることができる。は制御部、制御対象の伝達関数等をまとめたもので、一般に前向き伝達関数と呼び、次のような形で表現できる。 分母に含まれるのの値は零または正の整数であって、の値が0のときフィードバ…
ブロック線図においてしばしば表れる要素は次の図の比例、微分、積分の3要素の他に、次に述べる1次遅れ要素、2次遅れ要素および無駄時間要素がある。 (1)1次遅れ要素 分母がに関して1次式となる伝達関数をもつ要素を1次遅れ要素という。また、この伝達関数を…
結局、図のブロック線図において、伝達関数の作用は、入出力時間信号のLaplace変換をそれぞれとしたとき、 で定義される。 入力信号として単位インパルス関数をとってみる。すると、なので、 上式の逆変換を とおく。は重み関数または、インパルス関数に対す…
図の回路で入力電圧は、出力電圧はとすると、コンデンサの電荷だからであり、LRC回路の微分方程式は、 が成り立つ。 Laplace変換をすると、 初期値が全て零のときには となり、入出力の関係は 図のブロック線図で表される。 したがって、ブロック線図はシス…
【例題】 電気回路 図の電気回路をブロック線図を用いて表せ。 まず、出力電圧と入力信号を反転させると次の図(a)を得る。 次に入力信号から出力信号を得る。 を実行してを得る。 入力信号から出力信号を得る。 を実行してを得る。 入力から出力を得る。 を…
(1)ブロックおよび加算点の統合 (i)直列ブロックの接続 直列接続されたブロックの統合 (a)は直列に接続された三つのブロックを表している。伝達関数の定義から明らかなように図(a)は一つの伝達関数を持つ図(b)と等価である。 (ii)並列ブロックの接続 並列接…
(1)ブロックと信号 信号とブロック 図はある要素に入力信号としてが加えられたとき、この信号が倍されて出力信号となることを表している。 の関係を図を用いて表現していることになる。信号をで表し、二つの信号間の関係を表す要素をで表すこととする。また…
(1) \begin{equation} |s \pmb{I} - \pmb{A}| = \begin{vmatrix} s+1 & -2 \\ 0 & s -1 \end{vmatrix} =(s+1)(s-1) = 0 \end{equation} から、固有値はとなり、安定な固有値と不安定な固有値が一つずつある。不安定な固有値を有するので、制御対象は不安定で…