ボード線図はベクトルについてその大きさととの関係を1本の曲線で表しさらに、位相角ととの関係をもう1本の曲線で表現する方法を用いている。
大きさに関しては
を横軸に対数表示をとった半対数方眼紙上に描く。この曲線をボード線図上のゲイン特性曲線と呼んでいる。
位相角に関してはとおき、同様にを横軸に対数表示をとった半対数方眼紙上にの値を描いていく。
の値の単位は度を用いて表す。
(1)微分要素のボード線図
周波数応答であるため、ゲイン
となり、また位相特性曲線はとなるので、
となることがわかる。ゲイン特性曲線はが10倍増加するごとにずつ増加していく直線である。この直線の傾きはと呼ばれている。
(2)積分要素のボード線図
周波数応答はで与えられるので
(3)1次遅れ要素のボード線図
伝達関数で表される1次遅れ要素について、とした場合のボード線図について考察する。
のとき[g \Doteq -20 \log \sqrt{1} = 0]
のとき[g \Doteq -20 \log \sqrt{\omega^2 T^2} = -20 \log T - 20 \log \omega]
ゲイン曲線は破線である、近似的にの区間で、の区間ではで近似する2本の直線が得られ、これを実線で示す。ゲイン特性曲線をこのような折線で近似したとき、誤差の最大値はのときであって、その値はとなる。またである時、この角周波数を折点角周波数と呼んでいる。
位相特性曲線はによって表され、
破線が位相特性曲線であり、この特性曲線を近似する折線は実線のように描くことができる。この折線はで、で、ではとを直線で結んでいる。この線はのときの位相角の点で接線を引くことによって求めたものである。
(4)2次遅れ要素ボード線図
伝達関数がであ表される2次遅れ要素について考える。とする。
周波数応答は
と表すことができる。ボード線図を表すと
これらの図が得られる。の値に応じて、ゲイン特性曲線、位相特性曲線が変化することがわかる。特に、ゲイン特性曲線に注目すると、がある一定の値以下のとき極地を生じることがわかる。極地を示す点を共振点といい、このときのゲイン特性曲線の値を共振値と呼び通常で表現する。またこのときの角周波数を共振角周波数といいで表す。ゲイン特性がになるときの角周波数を遮断角周波数と呼びで表す。
(5)むだ時間要素ボード線図
周波数応答がで表せることから、ゲイン特性曲線は
位相特性曲線
(6)複雑な伝達関数のボード線図
のようにの積で与えられるような系の周波数応答は
において
となるため、のゲイン特性曲線の和として与えられる。
位相特性に関しても各々の位相特性曲線の和として与えられる。
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