待ち行列4.ポアソン到着

ポアソン分布に従う到着の定義

条件1.(到着の定常性)相重ならないようにとられた’任意のn個の時間区間I_1,I_2,\cdots,I_nに対して、各区間k_1人、k_2人、\cdotsk_n人到着する結合確率が時間区間I_iをすべて同一時間ずらしても、その位置に関係なくその区間の長さとそこでの到着数k_iのみによって定まるものとする。この条件から特に1つの時間区間(t_0,t_0+t)をとるときそこにk人到着する確率はt_0に無関係でkと長さtのみに関係する。

条件2.(到着に残留効果がないこと)1つの任意の時間区間(t_0,t_0+t)をとるとき、そこにk人到着する確率はt_0以前のどの時間でどれだけとうちゃくしたかに何の影響も受けない。t_0以前の客の到着のあり方について何か与えられても、そのもとでこの時間区間内にk人到着する条件付確率は条件を外した確率に等しい。

条件3.(到着の整列性)長さtの任意の時間区間内に2人以上到着する確率をP(t,\geqq 2)で表せば

\displaystyle{\frac{P(t,\geqq 2)}{t} \to 0 (t \to 0)}

あるいは同じことであるが、P(t,\geqq 2) = o(t^2) ( t\to 0)が成立すること、この条件は同一時刻に2人以上の客が重なって到着する可能性がないことを意味し、客はある時間はなれて1人ずつ順序良く到着することを意味している。

 

長さ1のある時間区間を考え、この区間内に誰も到着しない確率を\phi =P_0(1)とする。この時間区間nに等分割すれば上述の時間区間にだれも到着しないということはこれら分割されたn個の区間のどれにも到着がないということと同じであるから条件1.2.によって

\displaystyle{\phi = \left[ P_0 \left( \frac{1}{n} \right)\right]^n}

したがって長さ1/nの時間区間内に誰も到着しない確率は

\displaystyle{ P_0 \left( \frac{1}{n} \right) = \phi^{\frac{1}{n}} }

長さk/nの時間区間内に到着しない確率は

\displaystyle{P_0 \left( \frac{k}{n} \right) = \phi^{\frac{k}{n}} }

である。tを非負の実数、n自然数として

\displaystyle{\frac{k-1}{n} \leqq t \lt \frac{k}{n} }

なる自然数kを定める。このような自然数の組n,kは無数に存在する。またP_0(t)tの減少関数である。なぜならt_1 \leqq t_2なるとき、区間(0,t_2)に到着がなければそれに含まれる(0,t_1)には当然到着がないからP_0(t_2) \leqq P_0 (t_1)よって

\displaystyle{P_0 \left( \frac{k-1}{n} \right) \geqq P_0(t) \geqq P_0 \left( \frac{k}{n}\right)}

したがって

\displaystyle{\phi^{\frac{k-1}{n}} \geqq P_0(t) \geqq \phi^{\frac{k}{n}}}

ここで\displaystyle{\lim_{n \to \infty}\frac{k}{n} = \lim_{n \to \infty} \frac{k-1}{n} = t}なるように極限をとると

P_0 (t) = \phi^t

P_0 (t)は確率であるから0 \geqq P_0(t) \geqq 1を満足し、したがって次の3つの場合が考えられる。

(1) \phi =0 (2) \phi = 1 (3) 0 \lt \phi \lt 1

(1)の場合は任意の区間の長さtに対してP_0(t)=0となり、任意の時刻で1人以上の客が到着する確率が1であることに反する。(2)の場合には任意の区間の長さt に対しずっと到着がおこらないことを意味する。(3)の場合にはe^{-\lambda}(\lambdaは正数)とおけるからP_0(t)=e^{-\lambda t}と書ける。

長さtの時間区間に誰も到着しない事象、ただ1人到着する事象および2人以上到着する事象は互いに排反であり、なおかつこれらの事象は全事象であるから、

P_0(t) + P_1(t)+P(t,\geqq 2)=1

これと条件3.から

P_1(t)=1-e^{-\lambda t} + o(t^2) = \lambda t + o(t^2) (t \to 0)

 

長さt+hの時間区間内にちょうどk人到着する確率を求める。これは次のk+1個の排反事象の和事象である。

0)長さtの時間区間内にちょうどk人到着し、残りのhの時間区間内には誰も到着しない。

1)長さtの時間区間内にちょうどk-1人到着し、残りのhの時間区間内には1人到着する。

\vdots

k)長さtの時間区間内にちょうど0人到着し、残りのhの時間区間内にはk人到着する。

したがって

\displaystyle{ P_k(t+h)=\sum_{i=0}^k P_{k-i}(t) P_i(h)=\sum_{i=0}^k P_i(t) P_{k-i}(h)}

P_i (t) \leqq 1 ( i=0,1,\cdots,k-2)であるから

\displaystyle{ \sum_{i=0}^{k-2} P_i(t) P_{k-i}(h) = \sum_{i=0}^{k-2} P_{k-i}(h)= \sum_{i=2}^k P_i (h) = \sum_{i=2}^\infty P_i (h) = o(h^2), (h\to 0) } 

したがって

P_k(t+h) = P_k(t) P_0(h)+P_{k-1}(t)P_1(h)+o(h^2),(h \to 0)

これにP_0(h)=e^{-\lambda h}= 1 - \lambda h + o(h^2)P_1(h)=\lambda h + o(h^2),(h\to 0)を代入して

P_k(t+h) = P_k(t)(1 - \lambda h)+ P_{k-1}\lambda h + o(h^2)

すなわち

\displaystyle{ \frac{P_k(t+h) - P_k(t)}{h}=-\lambda P_k(t) + \lambda P_{k-1}(t) + o(h)}

ここでh\to 0とすれば

\displaystyle{\frac{d P_k(t)}{dt} = \lambda P_k(t) + \lambda P_{k-1}(t)}

この連立微分方程式を解けば

\displaystyle{ P_k(t) = \frac{(\lambda t)^k}{k!} e^{-\lambda t}}

というパラメーター\lambda tポアソン分布を得る。

条件1.から条件3.を満たす到着をポアソン到着という。

 

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