【定義S1】(システムの極に基づく定義)プロパーな有理伝達関数を持つシステムにおいて、そのシステムのすべての極の実部が負であるとき、このシステムは安定であるという。実部が負である極を安定極、実部が負である零点を安定零点と呼び、実部が正である極を不安定極、実部が正である零点を不安定零点と呼ぶ。
以下、極の実部が負であれば周波数応答が測定できることを示す。簡単のための極はすべて単極であると仮定する。
システムに振幅角周波数の正弦波入力
を加えた場合の出力を求める。Laplace変換を加えると
出力のラプラス変換は
と部分分数展開できる。は、
で与えられる。正弦波入力に対する出力は逆Laplace変換することにより、
となる。全ての極の実部が負であることから、出力式の右辺第3項以下は時間が経過するにつれて減衰し、時間が十分経過した後の定常状態では最初の2項のみが残る。よって定常状態における出力をとする。は多項式とすれば、は実多項式であるから、
したがって、
以上より、極の全ての実部が負であれば、周波数応答が存在しそのシステムは安定である。
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