2016年電験1種 電力管理問4

f:id:mahou:20190617092524j:plain

 (1)

内部以上電圧とは、外部より侵入する雷電圧(外雷又は外部異常電圧と呼ぶ。)と区別して、電力系統の内部的原因によって生じる異常電圧のことを意味し、開閉サージ、1線地絡時の健全相電圧上昇や負荷遮断時の異常電圧などがある。

開閉サージは、遮断器の開閉操作によって生じ、最大数ミリ秒程度継続する過渡的異常電圧である。開閉サージの大きさは、送電線のこう長や高さなど送電線路の静電容量の大きさ、再閉路時の残留電圧の有無などにより左右される。

1線地絡時の健全相電圧上昇は、1線地絡故障時に健全相に発生する商用周波数の過電圧である。電圧の大きさは、中性点接地方式などによって左右される。

負荷遮断時の電圧上昇は、遮断器などで負荷遮断時に発生する商用周波数の過電圧である。電圧の大きさは、負荷遮断前の潮流、発電機の定数、送電線の静電容量などによって左右される。

 

(2)

がいし一連個数を決定する場合にも、内部異常電圧によってフラッシオーバが発生しないようにするという原則が有効である。154kV以下の電圧階級では、開閉サージ電圧波高値とがいし連の注水時の開閉サージ耐電圧特性及び持続性異常電圧実効値とがいし連の注水時の商用周波数耐電圧特性の二つから所要連結個数を計算する。両者の計算結果を比較すると後者の絶縁裕度の方が大きく、がいし個数は通常全て開閉サージによって決まる。

実際には、保守用にがいしを通常1個多く設けることとして最終的な一連個数が決定される。また、臨海部などで塩害が甚だしい場合など、汚損条件下では耐圧特性が低下するので考慮が必要である。