伝達関数 伝達関数の基本形

ブロック線図においてしばしば表れる要素は次の図の比例、微分積分の3要素の他に、次に述べる1次遅れ要素、2次遅れ要素および無駄時間要素がある。

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 (1)1次遅れ要素

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 分母がsに関して1次式となる伝達関数をもつ要素を1次遅れ要素という。また、この伝達関数を1次遅れ伝達関数と呼ぶ。1次遅れ伝達関数を図ので示す形で表現したとき、Kをゲイン定数、Tを時定数と呼ぶ。

 

(2)2次遅れ要素

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 分母がsに関して2次式で表される伝達関数を2次遅れ要素伝達関数といい、この伝達関数を2次遅れ要素という。

\displaystyle{\sqrt{T_2}= \frac{1}{\omega_n}}

\displaystyle{\frac{T_1}{2\sqrt{T_2}}= \zeta }

とおくと、

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 の図が得られ、この図は一般に2次遅れ伝達関数の標準形と呼ばれており、\zetaを減衰係数、\omega_nを固有角周波数と呼ぶ。Kはゲイン定数である。

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 回路は2次遅れよその例であり、その伝達関数

\displaystyle{\frac{V_o (s)}{V_i(s)}= \frac{1}{1+CR s + LC s^2}}

\displaystyle{\omega_n = \frac{1}{\sqrt{LC}}}

\displaystyle{\zeta = \frac{CR}{2\sqrt{LC}}=\frac{R}{2}\sqrt{\frac{C}{L}}}

K=1

が得られる。

 

(3)無駄時間要素

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図に示すように入力信号e(t)を加えたとき出力信号c(t)として

c(t)=e(t-L)

を発生する要素を無駄時間要素という。無駄時間要素の伝達関数F(s)を求める。

\displaystyle{E(s)= \int_0^\infty e(t) \exp(-st)dt}

t-L=t'とおくことにより

\displaystyle{C(s)= \int_0^\infty e(t-L) \exp(-st) dt = \int_{-L}^\infty e(t') \exp(-s(t'+L)) dt' =\exp(-sL) \int_{-L}^\infty e(t')\exp(-st')dt' }

\displaystyle{=\exp(-sL) \left\{\int_0^\infty e(t') \exp(-st')dt' + \int_{-L}^0  e(t') \exp(-st')dt'\right\} }

e(t)=0(t \lt 0)より

C(s)=\exp(-sL)E(s)

\therefore F(s)= \exp(-sL)