伝達関数 インパルス応答、インディシャル応答

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結局、図のブロック線図において、伝達関数G(s)の作用は、入出力時間信号x(t),y(t)Laplace変換をそれぞれX(s),Y(s)としたとき、

Y(s)=G(s)X(s)で定義される。

入力信号x(t)として単位インパルス関数\delta(t)をとってみる。すると、X(s)=1なので、

Y(s)=G(s)

上式の逆変換を

y(t)=g(t)

とおく。g(t)は重み関数または、インパルス関数に対する出力信号の意味でインパルス応答と呼ばれている。入力信号が印加される以前の時刻に出力に信号は現れないので、物理的にもg(t)=0(t \lt 0)が成り立つ。

任意の入出力時間信号x(t),y(t)Laplace変換について

\displaystyle{Y(s)=G(s)X(s)=\mathcal{L}[g(t)*x(t)] = \int_0^\infty \left\{\int_0^t g( t- \tau)x(\tau) d\tau\right\} \exp(-st) dt}

となるので、

\displaystyle{ y(t)= \int_0^t g(t-\tau)x(\tau)d\tau}

として、Y(s)=G(s)X(s)の時間領域での表現である出力信号y(t)は、任意の入力信号x(t)に対するインパルス応答g(t)による畳み込み積分で表される。 

 

次に、インパルス入力ではなく、高さh=1の単位ステップ入力対する応答を考える。これを単位ステップ応答または、インディシャル応答という。単位ステップ入力u_s(t)Laplace変換が\displaystyle{\frac{1}{s}}であることから、インディシャル応答y_s(t)

\displaystyle{y_s(t) = \mathcal{L}^{-1} \left[ G(s) \frac{1}{s} \right]}

で与えられるが、\displaystyle{\frac{1}{s}}がつくと積分Laplace変換になるから、

\displaystyle{y_s(t) = \int_0^t g(\tau) d \tau}

となる。すなわち、インディシャル応答はインパルス応答の積分で与えられる。さらに、y_s(t)=0(t\lt 0 )と定めれば、g(t)= {y_s}'(t)を得る。すなわち、インパルス応答はインディシャル応答の微分で与えられる。