フィードバック制御系の特性

制御系の特性を知ろうとする場合、制御系の応答に着目する。ある装置に対し入力信号が加えられたとき、出力側に生じる信号のことをその装置の応答という。フィードバック制御系に外部から加わる信号として、目標値と外乱の二つがある。

目標値に対する制御量の応答を求めれば、目標値と制御量との間の特性が求められ、外乱に対する制御量の応答を求めれば外乱との制御量との間の特性が求められることになる。

制御系の特性を求めようとする場合、その取扱いを簡単にするために、外乱または目標値として、ステップ信号が選ばれ、このときの応答に注目して議論が進められているが、さらに必要に応じて定速度信号、定加速度信号もあわせて検討される。

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フィードバック制御系に対し、h=1であるようなステップ入力を印加したとき、制御量および制御偏差の代表的な形として次の図が考えられる。

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 (a),(b)の応答は十分時間が経過すると、一定の値に落ち着くのに対し、(c)は時間が経っても落ち着くことがない。(a),(b)の応答を安定な応答といい、(c)の応答を不安定な応答という。

実用に供し得る制御系は安定でなければならない。そこで安定な制御系について、検討を続けていく。(a),(b)の応答は時間軸上で次の二つの区間に区別して考えることができる。時間が十分経過し、一定の値に落ち着いてからの応答と、落ち着くまでの応答とに分離する。前者を定常応答といい、これからきまる特性を定常特性という。これに対して後者を過渡応答といい、これから決まる特性を過渡特性という。

定常特性の場合、偏差e(\infty)の値が問題となる。e(\infty)の値を定常偏差といい、制御系の設計にあたってはe(\infty)\simeq 0の系の実現が一つの目標になる。これに対し、過渡特性においては、応答が立ち上がる速さと、振動的な場合、行き過ぎ量の値とに注意を払わなければならない。