伝達関数 フィードバック制御系のブロック線図

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 フィードバック制御系の構成は、上図のようにまとめることができる。G(s)は制御部、制御対象の伝達関数等をまとめたもので、一般に前向き伝達関数と呼び、次のような形で表現できる。

\displaystyle{ G(s) = \frac{K \exp(-sL)\prod_{j=1}^m ( s T_j + 1)}{s^\ell \left\{ 1+ 2 \zeta \left( \frac{s}{\omega_n} \right) + \left(\frac{s}{\omega_n}\right)^2\right\} \prod_{i=1}^k(s T_i + 1)} }

分母に含まれるs^\ell\ellの値は零または正の整数であって、\ellの値が0のときフィードバック制御系を0形の制御系、\ell=1のとき1形の制御系、\ell=2のとき2形の制御系という。また、伝達関数の分子多項式N(s)の次数が分母多項式D(s)の次数に等しいかそれより小さいとき伝達関数G(s)はプロパーといい、等しくなく確かに小さいときには厳密にプロパーという。

フィードバックパスに含まれる伝達関数H(s)はフィードバック伝達関数と呼ぶ。H(s)は一般には定数であるが、変換部における時間的な遅れも考慮しなければならないことがあり、この場合には1次遅れ伝達関数となる。また、前向き伝達関数G(s)とフィードバック伝達関数H(s)の積G(s)H(s)のことを一巡伝達関数と呼ぶ。

さらにL(s)は外乱の伝達関数と呼ばれ、これも定数か1次遅れ伝達関数になることが多い。

 

次に等価変換の法則を使って整理する。まず、外乱の加算点と前向き伝達関数を入れ換える。

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次に加算点同士を入れ換える。

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 次に破線で囲まれたブロック線図を変換する。

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 最終的に以下のブロック線図が得られる。

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 次に同様にして制御偏差E(s)R(s),D(s)との関係を求める。

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 次に外乱の加算点とフィードバック伝達関数の入れ替えを行う。

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 次に加算点の入れ替えと伝達関数の直列結合を行う。

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 次にフィードバック部分をまとめる。

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 最後に以下のブロック線図を得る。

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 以上のようにして得られた二つの最終結果において特に重要なことは、伝達関数の分母がいずれも1+G(s)H(s)であるという点である。この分母を零とおくことによって得られるsに関する方程式

1+ G(s)H(s)=0

特性方程式と呼ぶ。特性方程式の根は特性根(または、閉ループ系の極)と呼ばれている。