2018年電験1種 法規問6

電気は供給が大幅に不足すると、需要の一部を制限しない限り安定供給を継続することが不可能となる。したがって、常に最大需要に対処できる供給能力を準備しなければならない。

電力広域的運営推進機関の「平成30年度供給計画のとりまとめ」によると、平成30年度の需要電力(一般送配電事業者10者が届け出たエリア需要を全国合計したもの)の見通しは8月に最大となり、その最大3日平均電力(送電端)は約15800万kWである。また、エリア別の需要見通しでは、一般送配電事業者2者のエリアで暖房需要がピークを迎える冬季に最大需要電力の発生を想定している。

各エリアの予備率は連系線を活用した他のエリアからの供給力を考慮することにより、安定供給の基準とする予備率8%(沖縄エリアを除く)を確保できる見通しである。

一方、平成30年度の年間需要電力量(一般送配電事業者10者が届け出たエリアの需要電力量を全国合計したもの)の見通しは、送電端で約8900億kWhであり、年間負荷率は約64%となる見込みである。

※1エリア需要とは、一般送配電事業者の各供給区域において、小売電気事業者及び一般送配電事業者が一般送配電事業者の流通設備を介して一般の需要に応じて供給する電気の量のうち最大3日平均電力を示したものをいう。

※2最大3日平均電力とは、各月における毎日の最大需要電力(1時間平均値)を上位から3日とり、それを平均した値をいう。

※3予備率とは予備力(供給力-最大3日平均電力)を最大3日平均電力で除したものをいう。

※4供給力とは最大3日平均電力発生時に安定的に見込める供給能力をいう。

【解説】

エネルギーに携わる技術者としての基本的事項である。予備率の考え方、ピーク需要kWや年間総需要kWhなどの概数の把握を問う問題である。出典の電力広域的運営推進機関の「平成30年度供給計画のとりまとめ」は2018年3月に発表されたものであり、最新の乗法を把握していることが問われている。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、ベース電源の稼働率が低下していること、ゴールデンウィークなどの太陽光発電の抑制が必要になっていること、悪天候太陽光発電出力が低く予備率が減少したことなどの自称について、問題意識をもって審議会飼料や広域機関、電力取引所などの発表資料を読んでおくことが求められる。電力自由化前は経済産業省が供給計画の取りまとめをを行っていたが、自由化後は広域機関が行っている。再生可能エネルギーの普及が進む海外では、発電事業者の供給力に比べて総需要は多い傾向にある。これは発電事業者にならないFIT電源が自家消費され、統計に表れにくくなっているためである。今後はFIT期限を迎える太陽光発電の自家消費が拡大することが見込まれ、地産地消される需要を把握した上での供給計画立案が必要となる。

 

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