2017年電験1種 電力問1

ペルトン水車は動作原理によって衝動水車に分類される。衝動水車は水の有するエネルギーを全て運動エネルギーに変えてランナに作用させるものである。ペルトン水車は、ノズルから噴出させた水をランナにさようさせて回転させる水車水車であり、ランナは水を受けるバケットとその取り付け部であるディスクからなる。ノズルの内部には、負荷に応じて使用水量を調整するため、ニードルが設けられている。

【解説】水車の種類を大別すると衝動水車反動水車とに分類される。衝動水車は、水のエネルギーを噴射ノズルによって運動エネルギーに変え、大気中において高速度のジェット水にして羽根(ランナバケット)に作用させ、その衝撃力でランナを回転させるものである。反動水車は圧力エネルギーを持つ流水をランナに作用させて回転させるものである。

ペルトン水車は、代表的な衝動水車である。一般的に小容量機には横軸ペルトン水車が、大容量機には縦軸ペルトン水車が使用され、落差150m以上の中高落差地点に採用される。

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 ペルトン水車はノズルから噴出させたジェット水をランナのバケットに衝突させて回転させる水車であり、ランナは水を受けるバケットと、その取り付け部である円盤のディスクから構成される。ディスク外周に15~20枚のバケットを設け、回転しながらノズルからの噴射水バケットで受け、それを動力として主軸に伝える。従来のランナではバケットとディスクを別々に製作してボルトで結合する構造が多かったが、最近のランナはバケットとディスクを一体鋳造で製作するものがほとんどである。

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 バケットは中央に水切りを有しており、ジェット水を左右に分離してそれぞれの内面に沿って流した後に両端の縁から流出させる機構になっている。

ノズルの内部には負荷に応じて使用流量を調節するためニードルが設けられている。ニードルはニードルサーボに連結され、そのストロークにより水口開度を変えてランナに供給する水量を調節する。ペルトン水車は、ジェット水の方向が負荷によらず一定となるため、部分負荷運転時でも効率低下が少ない特徴を持っている。ノズル先端部は高圧の流水にさらされ摩耗しやすい箇所であるため、ニードルチップおよびノズルチップはステンレス製とし、取替可能な構造になっている。

その他の構造的な特徴として、負荷遮断時などでニードルを急激に閉じると水撃作用により水圧管路に大きな圧力上昇が起こり危険であるため、ノズル出口部にデフレクタ(ジェット水そらし板)が設置され、負荷遮断時にはこれを作動させてジェット水を遮ることによりランナの測度上昇やケーシングの水圧上昇を低く抑えられる構造になっている。遮られたジェット水は、急激に折り曲げられてランナ下方に放流される。