2017年電験1種 電力問2

通風装置はボイラの燃焼に必要あ空気を火炉に送り込み、燃焼ガスを排煙処理設備などに通過させた熱尾、煙突から排出させるための設備である。

石炭焚きボイラに適用される平衡痛風方式はボイラ上流側に配置した押し込み通風機により、火炉内を大気圧又はやや負圧に保ちながら運転する方式である。やや、上記の通風機以外にも、燃焼用空気の酸素濃度を下げて\mathrm{NO_x}を低減する目的で設置される排ガス混合通風機がある。

【解説】

燃料の年sっ法に必要な空気を火炉に供給し、燃焼生成ガスを煙突から大気に放出させる一連の空気ーガスの流動を通風という。通風装置は、燃料を完全燃焼させて燃焼生成ガスを伝熱面に接触させながら煙道を通して流すことにより、その保有する熱を有効に利用する。一般に発電用ボイラでは、平衡痛風方式あるいは押込通風方式の2通りの通風方式が採用されている。

f:id:mahou:20190827202154j:plain

 平衡痛風方式は、図に示すように、ボイラ上流側に配置押込通風機と、ボイラ下流側に配置した誘因通風機により、火炉内の圧力を大気圧または大気圧よりやや負圧に保ちながら運転するほうしきである。石炭焚ボイラでは灰漏れを防止するため、大気圧よりやや負圧に保つ。また、低カロリーの高炉ガスあるいはコークス炉ガス焚きのボイラでは燃料の供給圧力が低く燃料ガス自体が\mathrm{CO}を含むため危険物であることから安全性を考慮し、負圧にするため平衡通風が採用されている。

押込通風方式は、誘因通風機を配置せずに押込通風機のみを火炉の上流側に配置し、大気を圧縮して燃焼用空機として火炉内に押し込むものであり、重油LNG焚きボイラに多く採用されている。押込通風機は平衡痛風方式の場合に誘引通風機が分担していた通風抵抗も加えて分担する櫃余がある。しかし、平衡通風方式の場合の取り扱う流体が、押込通風機の常温空気と誘引通風機の約80 \sim 145 {^\circ \mathrm{C}}の高温ガスであるのに対して、押込通風機方式の場合は常温の空気(20{^\circ \mathrm{C}}前後)だけで済む。このため、総合ファン動力は平衡通風方式の70\sim 80 \%に減少し、所内動力の低減が図れる。また、炉内圧制御が不要となるためボイラ自動制御装置を簡易化でき、さらに高温ガスあるいはばいじんによるトラブルを排除できる等の利点がある。この方式では、火炉、煙道の内部が大気圧以上で運転されるため、ガス漏れに注意して対策を施す必要がある。

排ガス混合通風機は、主に重油あるいはガス焚きボイラにおいて、節炭器出口の排ガスの一部を救出rひて空機予熱器出口の酸素濃度を低減して燃焼温度を下げることにより\mathrm{NO_x}を低減する。排ガス再循環通風機と同じ場所に設置されることから、排ガス再循環と兼ねて通風機を設置する例も多い。石炭焚ボイラの場合は、通風機入り口に通風機保護のため集じんが必要となり、その目的に機械式集じん機(サイクロン)が採用される例が多い。

なお、通風機の名称も\mathrm{NO_x}低減を目的に設置する通風機を排ガス再循環ファンといい、両者を区別しないこともある。