2016年電験1種 電力管理問1

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(1) 図1は排熱回収方式、図2は廃棄再燃方式

(2) 廃棄再燃方式は、排熱回収方式と比較して、次のような特徴がある。

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 1}\quad既設汽力発電ボイラのリパワリングに適する。

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 2}\quadボイラに使用する燃料は、ガスタービンと無関係に選択できる。

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 3}\quad蒸気タービンの出力比率が大きい。

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 4}\quad補助の押込みファンを設置することにより、蒸気タービンの単独運転が可能。

【解説】コンバインドサイクル発電は、高温域と低温域とで作動することなるサイクルを組み合わせて熱効率の向上を図る発電方式である。ガス・蒸気のコンバインドサイクル発電の場合、ガスタービンのブレイトンサイクルと蒸気タービンのランキンサイクルを組み合わせて構成され、次の方式がある。

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 1}\quad排熱回収方式:ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導き、発生した蒸気で蒸気タービンを駆動する方式

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 2}\quad排気助燃方式:ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導く途中で燃料を投入してガス温度を増し、蒸気タービンの出力を増加させる方式

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 3}\quad廃棄再燃方式:ガスタービン排気中に相当量の酸素が残存しているので、排気をボイラ燃焼用空気として利用し、排熱回収する方式

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 4}\quad給水加熱方式:ガスタービンの排気で蒸気プラントの給水を加熱する方式

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 5}\quad過給ボイラ方式:ガスタービンと同次国接続された圧縮機の吐出空気を加圧ボイラに導き、ここに燃料を投入して発生した高温・高圧の燃焼ガスをガスタービンに導き利用する方式

 

排気再燃方式や排気助燃方式は、ガス温度が800~1000℃級のガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電プラントでは多くの実績があるが、最近では1600℃級が実用化され1700℃級も実証段階にあって、ガスタービン排気もより高温となってきたためボイラでは全く燃料を必要としない排熱回収方式が主流となっている。この方式は、システム構成がシンプルで制御が簡単、ガスタービン出力比率(約7割)が大きい、ガスタービンが高温化するほどプラント熱効率が向上する、起動時間が短い、プラント出力当たりの温排水量が少ないなどの特徴があるが、ガスタービンと蒸気系との整合性を最適化する必要があり、蒸気タービンの単独運転はできず、新設あるいは既設プラントをリプレースする場合に適する方式である。

これに対し、廃棄再燃方式は、ガスタービン排気は高温なので空気予熱器が不要となり、ボイラ排ガスを給水加熱に利用すればプラント熱効率は排気助燃方式よりやや良くなる。運転制御系も複雑になるが、既設汽力発電ボイラのリパワリングに適用でき、ボイラ用燃料もガスタービンと無関係に選択できる。押込みファンを設ければ、上記タービンの単独運転も可能である。プラント熱効率は、ガスタービン排気を最大に利用できる蒸気プラント容量の場合に最高となる。ただし、押込みファンによりボイラ燃焼用空気を補う必要がある。高温ガスタービンを採用した場合など、排気の残存酸素濃度が低い場合は、押込みファンの追加措置が必要になる。