水力発電 9.調速機

電力の安定供給のために、周波数を一定に保つことが要求されており、負荷の増減にかかわらず、水車の回転速度を一定に保たなければならない。負荷の増減に応じて水車の水口開度を変化させ流入量を調節し、水車の出力を調整する必要がある。そのため、ペルトン水車ではノズルの有効断面積を変えるようにニードル弁を動かし、反動水車ではガイドベーン開度を変える必要が出てくる。回転速度の変化に応じて自動的にガイドベーン開度やニードル開度を調整する装置が調速機である。

負荷が一定の場合は、水車は一定の回転速度で運転されるが、負荷が減少すると回転速度は上がり、負荷が増加すると回転速度は下がる。調速機はその変化を検出してガイドベーン開度やニードル開度を加減して定格の回転速度を保つように水車の出力を自動的に調整している。また、起動をして発電機を系統と並列させるときの回転速度の調整や、負荷遮断時に異常な回転速度の上昇を押さえる機能も持っている。

現在の電力系統は非常に巨大で、多くの発電所の発電機が連系されていることから、電力系統全体の負荷の増減に対して、個々の発電所の調速機で調整することが難しくなっている。このため、系統全体をみている指令所から系統全体の変化分にあった調整を各発電所に伝送して調速機を調整する方法が一般的になっている。