2017年電験1種 電力管理問6

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 (1)電力系統における電力損失

(a)汽力発電所所内電力

給水ポンプ、循環水ポンプ、復水ポンプなど給水・復水系統設備、燃料油ポンプ、LNGポンプなど燃料受入れ・貯蔵設備、重油原油ポンプ、通風機などボイラ設備、石炭火力の場合は、揚炭機、微粉炭機(ミル)、脱硫装置の脱硫ファンなどの動力負荷が加わる。

(b)送配電設備の損失

送電線路の抵抗損・漏れ電流損・コロナ損、変圧器の鉄損・銅損・補器類損失、配電線路の抵抗損、調相設備の損失、ケーブルの誘電損など。

 

(2)所内比率および損失率の概数

水力発電所の所内比率は(イ)の1%である。

相辺配電設備の損失率は(ロ)の5%である。

 

(3)発電所を除く電力系統における電力損失低減対策

(a)送配電電圧の昇圧、電圧・無効電力の定期性制御による無効潮流の最小化・高め電圧維持

電力用コンデンサ、分路リアクトル、静止形無効電力補償装置(SVC)などの調相設備、変圧器タップの制御により送配変電設備の潮流の力率を極力1に保ちつつ、各部の電圧は運用可能の中で極力高めに調整して、電流を小さくし、抵抗損を低減する。

(b)電線の太線化・多導体化、超電導ケーブルの採用

抵抗を減らし、抵抗損を軽減する。超高圧架空送電線ではコロナ損を低減する。

(c)変圧器、ケーブルの損失低減

柱上変圧器の鉄損を減らすために、冷間圧延方向性けい素鋼板鉄心、アモルファス鉄心(柱上変圧器の場合)の採用による変圧器無負荷損の低減、冷却設備ポンプ類の可変速運転など補器類の損失低減、誘電損の小さなCVケーブルの採用などがある。軽負荷時には、一部の変圧器やケーブルの停止により、無負荷損や誘電損の低減を図る。

(d)系統構成(ループ化、負荷の系統切替など)、発電機出力の適正配分、電力貯蔵設備の活用

潮流の偏重をなくして平均化する。地産地消電源である分散型電源を極力活用、さらに、負荷に応じて発電力、電力貯蔵・放出を調整し、送配電距離と潮流を最小化する。