(1)
故障発生前のタービン発電機の電気的出力は定格出力、定格力率0.90なのでである。また、昇圧変圧器の高圧側母線至近端の三相短絡故障(故障点抵抗0)なので、短絡故障時の発電機端子電圧は0、電気出力もである。
よって短絡時のトルクのステップ変化の大きさもである。
(2)
微分方程式を事故発生時()に対する角速度、機械的入力、電気的出力の変化分をと表すと、
角速度の基準量は周波数をとすると
(3)
a.直列合成リアクタンス
・故障発生前
変圧器リアクタンス、送電線1回線当たりのリアクタンスはいずれも(基準)
・故障除去後
b.背後電圧の大きさ
発電機出力は定格緋想出力で定格力率0.90(遅れ)、端子電圧は定格端子電圧なので、発電機端子電流
背後電圧
c.無限大母線電圧
(4)
無限大母線電圧は、故障前後で大きさ、位相角とも変化しないので、これを位相基準にとり、故障発生前のタービン発電機の背後電圧の位相角をとする。故障除去時の位相角は
である。
したがって、故障除去時の発電機の電気的出力は
ここで故障前の発電機出力状態より、
なので
故障中の電気的出力はなので、故障除去時の電気的出力はステップ状に増加し、題意より電力とトルクは同一の値となるので、電気的トルクのステップ変化もである。
(5)
題意より、タービン・発電機系の軸ねじれ振動の振動数は程度である。タービン軸系と発電機軸径は直結されており、タービンは機械的トルク、発電機は電気的トルクがかかっているので、両者に差が生じると軸ねじれトルクとなり、振動を引き起こす。高速再閉路を適用する場合は、故障発生時、故障除去時および再閉路時に電気的トルクのステップ状の変化を生じ、これらを起振力として0.1秒程度の周期で軸ねじれ振動する。発電機の回転運動を表す微分方程式から求めた内部相差角は軸ねじれ振動の影響を考慮していないため、実際の再閉路時はその分だけ内部相差角が変動する。高速再閉路のタイミングが0.1秒程度以下でずれると、再閉路時の相差角が変動分の最大~最小まで変化することになり、軸の機械的疲労が大きく左右される。