(1)
・ブスタイ分離リレーの設置目的
前方(乙母線、送電線回線2,4)事故で主保護リレーによる事故除去ができなかった場合に、当該電気所ブスタイ(母線連絡)遮断器を開放して事故側母線(乙母線)と健全側母線(甲母線)を分離することにより、後方の電気所(母線A,B)での健全側母線に接続される回線の遠端後備保護を復帰させるとともに、事故電流の分流を減らして事故側母線の遠端後備保護動作を容易にして停電範囲の拡大を防止する。
・ブスタイ分離リレーの有無による違い
ブスタイ分離リレーがない場合は、遠端後備保護により、乙母線に接続されている回線4のCB9および甲母線に接続されている回線1のCB1と回線3のCB8が開放されるため、甲乙母線すべてが停電し、母線A側系統と母線B側系統が分離する。
ブスタイ分離リレーがある場合は、ブスタイ遮断器CB5を開放して母線を分離し、遠端後備保護により回線4のCB9だけが開放されるため、乙母線のみの停電で済み、母線A側系統と母線B側系統の連携も維持される。
(2)
a.主保護リレーによる事故除去に失敗した場合に、その後方の電気所で事故の継続を検出して遮断することにより事故除去する。図2のF点事故で遮断器CB5が遮断失敗すると、後方の電気所Bの遠端後備保護リレーが事故の継続を検出し、遮断器CB3を遮断して事故除去する。
b.遮断器、計器用変成器、制御電源
c.
・距離リレー第1段
自区間(電気所A~電気所B)送電線事故で動作すること、対向電気所母線事故では誤動作しないことを条件として整定値を決定し、通常、保護リレー、計器用変成器、線路定数などの誤差によるオーバーリーチを考慮して自区間送電線インピーダンスの80%程度とする。時限は瞬時とする場合が多いが、超高圧送電線などで単相または多相の高速再閉路を行う場合は、主保護リレーによる事故除去を優先させるため0.05秒程度とする。
・距離リレー第2段、第3段
対向電気所母線事故で確実に動作させるため、誤差によるアンダーリーチを考慮して自区間送電線インピーダンスの120%程度とする。時限は隣接区間(対抗変電所母線に接続される自区間送電線以外の送電線またはバンク)事故で不要動作させないため、当該主保護および後備保護(第1段)リレーによる事故除去時間と協調をとり、0.2~0.4秒程度とする。ただし、隣接区間送電線が短距離のため、自区間送電線インピーダンスの120%程度に整定することで、隣接区間対向電気所母線事故も保護範囲に入る場合には、さらに次元を長くする必要がある。
第3段リレーは隣接区間の事故を確実に保護するため、隣接区間の末端までのインピーダンスに、分流効果(対向電気所母線において他の電源から隣接区間に流入する事故電流により距離リレーの見るインピーダンスが実際のインピーダンスより大きくなる影響)を考慮して整定する。
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