2018年電験1種 電力管理問2

f:id:mahou:20190526201345j:plain

 (1)送電線等の過負荷

(a)自己波及の様相

・送電線:架空送電線では電線が弾性限度以上に延び、地上高低下や絶縁距離不足による事故で停電範囲が拡大し、電線の張替も必要になる。地中送電線も絶縁破壊による地絡事故により停電範囲が拡大する。

・変圧器:絶縁不良、絶縁油気泡発生による絶縁低下で変圧器事故となり停電範囲が拡大する。寿命損失も大きくなり、設備更新が早まる。

(b)自己波及防止リレーシステムの制御

潮流を過負荷限度曲線以内に制御するため、短絡容量等で常時分離の送電線等の併用、揚水機遮断、発電機の並・解列や出力調整あるいは負荷制限を行う。それでも過負荷を解消できない場合は、過負荷設備を遮断し、故障を防止する。

(2)周波数低下

(a)自己波及の様相

負荷機器の異常動作や製品不良が増加する。タービン発電機の動翼共振、補助機能力低下等による運転継続限度を下回ると、連系発電機が停止し、さらに周波数低下して発電機が停止しブラックアウトするため、停電が広範囲・長時間化する。

(b)自己波及防止リレーシステムの制御

緊急融通では対処できない事故の場合、系統間の波及阻止のため、連携を分離する。周波数低下の要因系統では、周波数低下をタービン発電機が運転継続可能な範囲に抑えるため、周波数の低下、低下率を検出して、不足する供給力に見合った負荷を少量単位に制限、あるいは事前の需給状況から求めておいた分離後系統のアンバランス量に応じ、負荷制限を行う。

(3)発電機の脱調

(a)自己波及の様相

系統じょう乱で一部発電機が脱調すると、脱調中心付近の電圧が著しく低下し、他の発電機が連鎖脱調して大量に電源脱落するので、周波数低下や潮流変化に伴う過負荷で広範囲停電に拡大する。また、脱調状態が継続した発電機は、軸トルク応力が限界を超え破損する。

(b)自己波及防止リレーシステムによる制御

一部発電機遮断・揚水機遮断、火力発電所のタービン高速バルブ制御、制動抵抗の一時的投入や位相変圧器バイパス制御などで、発電機の加速(揚水機の原則)を抑制制御し脱調を未然防止する。発電機単独脱調は当該発電機だけを分離、系統間脱調には、分離後の需給アンバランスが最小の地点で系統分離する。