水力発電 7.水車

1.水車の種類

水の持つ位置エネルギーは運動エネルギーにも圧力エネルギーにも変えることができる。この位置エネルギーを運動エネルギーに変えて利用する水車が衝動水車、圧力エネルギーに変換して利用する水車が反動水車である。衝動水車は水をノズルから噴出させ、位置エネルギーを運動エネルギーに変えた流水をランナ(羽根車)に作用させる構造の水車で、代表的なものにペルトン水車がある。

反動水車は圧力エネルギーとして、流水をランナ(羽根車)に作用させる構造の水車であり、代表的なものにフランシス水車がある。ランナを通過する流れの方向から、遠心水車、斜流水車、軸流水者に区分けされる。

f:id:mahou:20190715211943j:plain

 2.ペルトン水車

f:id:mahou:20190715212306j:plain

 ペルトン水車はノズルから噴出させた水(ジェット)をランナに作用させてランナの円周方向に衝撃力を与え、流水の運動エネルギーでランナを回し、機械エネルギーに変える水車である。

f:id:mahou:20190715212822j:plain

 ランナはジェットを受けるバケットバケットの取り付け部であるディスクとからなる。バケットは一つのディスクに通常16 \sim 30個取り付けられているが、鋳造技術の発達により現在ではバケットとディスクを一体鋳造で製作することが多い。

ノズルは、水のもつ位置エネルギーを運動エネルギーに変える装置で、出口に近づく従って次第に狭くなる通路をもつ円形管で、その中を円すい形のニードル弁が動き、流出口の断面積を変えて噴出する流量を調節する。

f:id:mahou:20190715213651j:plain

 デフレクタは水車の負荷が急に減少したときに、ノズルから噴出する水をバケットからそらし、水車の速度が上がりすぎないようにする装置で、バケットとノズルとの中間に動き出てくる構造になっている。

ランナ1個に対するノズルの数は、横軸機では1個または2個の場合が多いが、出力の大きい水車では4または6個とすることもある。ノズルの個数を増す場合は、描くノズルに水を分配しやすくするために、縦軸機が用いられる。

複数のノズルを一つのランナに働かせる場合には、一つのノズルから出た水が十分に働き終わった後に、次のノズルからの水がバケットにあたるようにしており、ノズルは互いに60^\circ以上、できれば90^\circを隔てて設置する。このためノズルは6個が限界となる。

f:id:mahou:20190715214531j:plain

3.フランシス水車

f:id:mahou:20190715224117j:plain

 フランシス水車はランナに流入する水がある程度の測度をもっているので、衝動と反動の両作用が存在する。水車の形を変えることにより、衝動および反動両作用の占める率を大幅に変えることができるので、フランシス水車の特性は広範囲となる。

フランシス水車では水車の入り口から吸出し管の出口まで水で十万されて連続して水が流れ続けるため、多くはランナ出口では圧力が大気圧よりも低くなり、ランナ中心から放水面までの落差が利用できる。

フランシス水車は水を導くためのケーシング、水流を定めるための案内羽根、回転して動力を発生するランナおよび吸出し管などからできている。その構造は、大型のものはほとんど縦軸形が採用されている。