2016年電験1種 電力問4

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 変圧器の寿命は、絶縁材料の劣化の程度に左右される。絶縁油は劣化しても戦場や交換が可能であるが、紙材料は、一般に修理や交換は不可能である。

(1)の解答(ヌ)

 

紙材料の中では、巻線にまかれている絶縁紙が最も高温になるので、変圧器の寿命は巻線にまかれている絶縁紙の再温度部の劣化程度に左右される。このため、運転時間とともに絶縁紙の機械的性能である引張強度が低下し、初期の引張強度の50~60%が寿命とされている。

(2)の解答(ト)

 

絶縁紙の主用構成物質セルロース分子であり、この分子の長さの目安として平均重合度が用いられ、絶縁紙が熱的に劣化すると、絶縁紙のセルロース分子間の連鎖が切断され、平均重合度が低下し、引張強度は低下する。つまり、絶縁紙の引張強度は、平均重合度という物差しで決めることができる。

(3)の解答(ロ)

(4)の解答(ワ)

 

しかし、運転中に変圧器内の絶縁紙を採取することは困難であるため、変圧器の絶縁紙が劣化すると絶縁油中に溶解するセルロースの分解生成物であるフルフラール等の量を用いて、平均重合度との相関から絶縁紙の経年劣化度を診断する方法が実用化されている。

(5)の解答(ヲ)