2018年電験1種 法規問2

a.架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない。

b.高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合は、高圧架空電線の高さは、横断歩道橋の路面上3.5\mathrm{m}以上であること。

c.使用電圧が160,000\mathrm{V}を超過する特別高圧架空電線の高さは地表上(6+c)\mathrm{m}以上(山地等であって人が容易に立ち入らない場所に施設する場合は地表上(5+c)\mathrm{m}以上)であること。

ただし、cは使用電圧と160,000\mathrm{V}の差を10,000\mathrm{V}で除した値(小数点以下を切り上げる)に0.12を乗じたもの

d.特別高圧架空電線を水面上に施設する場合は、電線の水面上の高さを船舶の航行等に危険を及ぼさないように保持すること。

【解説】

a.電気設備技術基準第25条(架空電線の高さ)第1項では、「架空電線、架空電力保安通信線及び架空電車線は、接触又は誘導作用による感電のおそれがなく、かつ、交通に支障を及ぼすおそれがない高さに施設しなければならない」と規定されている。

b.電気設備技術基準の解釈第68条(低高圧架空電線の高さ)第1項では、「低圧架空電線又は高圧架空電線の高さは、次表に規定する値以上であること」と規定されている。

 

区分 高さ
道路(車両の往来がまれであるもの及び歩行の用にのみ供される部分を除く。)を横断する場合 路面上6\mathrm{m}
鉄道又は軌道を横断する場合 レール面上5.5\mathrm{m}
低圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3\mathrm{m}
高圧架空電線を横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上3.5\mathrm{m}
上記以外 屋外照明用であって、絶縁電線又はケーブルを使用した対地電圧150\mathrm{V}以下のものを交通に支障のないように施設する場合 地表上4\mathrm{m}
低圧架空電線を道路以外の場所に施設する場合 地表上4\mathrm{m}
その他の場合 地表上5\mathrm{m}

c.電気設備技術基準の解釈第87条(特別高圧架空電線の高さ)第2項では、「使用電圧が35,000Vを超える特別高圧架空電線の高さは、事業に規定する値以上であるとこ」ときていされている。

使用電圧の区分 施設場所の区分 高さ
35,000\mathrm{V}を超え160,000\mathrm{V}以下 山地等であって人が好いニ立ち入らない場所に施設する場合 地表上5\mathrm{m}
電線にケーブルを使用するものを横断歩道橋の上に施設する場合 横断歩道橋の路面上5\mathrm{m}
その他の場合 地表上6\mathrm{m}
160,000\mathrm{V}超過 山地等であって人が容易に立ち入らない場所に施設する場合 地表上(5+c)\mathrm{m}
その他の場合 地表上(6+c)\mathrm{m}

【備考】cは使用電圧と160,000\mathrm{V}の差を10,000\mathrm{V}で除した値(小数点以下を切り下げる)に0.12を乗じたもの。

 

なお、特別高圧架空電線の高さは、第1項で35,000\mathrm{V}以下、第2項で、35,000\mathrm{V}を超え、160,000\mathrm{V}以下、160,000\mathrm{V}超過と使用電圧を3つに区分して規定している。

また、これらの数値はあくまでも最低の値で、実際の送電線の設計では、地表上の電気強度、工作物等との離隔距離などを考慮して決定される。

d.電気設備技術基準の解釈内7条(特別高圧架空電線の高さ)第3項では、「特別高圧架空電線を水面上に施設する場合は、電線の水面上の高さを船舶の航行等に危険を及ぼさないようにほじすること」と規定されている。