2018年電験1種 電力問2

深夜や軽負荷時に過剰となる無効電力をタービン発電機で吸収させ、系統電圧の上昇を防止するために進相運転を行うと、回転子と固定子間のギャップ磁束が減少し、磁束が固定子端部に通りやすく渦電流が増え加熱するため、回転子保持環を非磁性体にしたり、漏れ磁束に対する磁気抵抗を高める対策が施されている。

発電機に不平後負荷が接続されていると、電気子電流に逆走電流が含まれ、正相電流による回転磁界と逆方向の回転磁界を生じ、回転子の界磁巻線に偶数倍周波数の高調波が発生する。また、この逆方向の回転磁界により接触抵抗の大きい箇所に局部加熱が生じるため、回転子に制動巻線を設けるなどの対策が行われている。

【解説】

発電機の界磁電流を減らすと、内部起電力は系統電圧より低くなり、進みの無効電力を系統側へ供給する。この界磁電流を減らして運転することを進相運転といい、深夜など負荷の遅れ無効電力が減少したときに系統電圧のじょうしょうを防止するために行われる。

タービン発電機を進相運転すると、界磁電流を減少させるため発電機の内部起電力は低下し、同期安定性が低下する。また、回転子と固定子間のギャップ磁束が減少するとともに、電気子反作用による漏れ磁束が増大し、この磁束は固定子端部に対して軸方向の磁束となるため固定子端部に渦電流が誘起され、局部的な過熱を生じる。このため、回転子保持環を非磁性体にしたり、漏れ磁束に対する磁気抵抗を高めたりする対策がとられている。

同期発電機に不平後負荷が接続されていると、電気子電流に逆相電流が含まれ、正相電流による回転磁界と反対方向の回転磁界を生じ、回転子の界磁巻線に偶数倍周波数の高調波を結城氏、この磁界により電気子巻線に奇数倍周波数の誘導電圧を結城氏、この結果電気子誘導電圧の波形をひずませるとともに回転子表面や固定子巻線の局部を過熱させる。

このうち回転子表面の過熱は、逆相電流によってゆうきされた回転子の2倍周波数の渦電流が表皮効果の影響で界磁巻線を流れずに表面のくさびと保持環の間を流れ、くさびと保持環の接触部およびくさびと鉄心の接触部などは接触抵抗が大きいためこの部分を通る渦電流によって過熱状態になる。回転子表面が過熱状態になると、くさびがなまされてせん断破壊を起こしたり、保持環が熱により膨張して回転子との焼きばめ部分が甘くなって渦電流によるアークが発生して材料を損傷したりするなどの影響を与えるため、回転子に制動巻線を設けるなどの対策が行われている。