%インピーダンス2 計算例と約束ごと

図説 %Z法と対称座標法の入門 [ 柴崎 誠 ]

の例題を少し解いてみる。

 

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 1}\quad公称電圧値が66\mathrm{kV}の送電線があり、1相当たりの送電線の作用インピーダンス値が4\Omegaであるとき、この送電線に10000\mathrm{kV\cdot A}の皮相電力が通過している状態の%インピーダンス\% Z[\%])の値を求めなさい。

 

解答

\displaystyle{ \% Z= \frac{Z \times S}{10 \times V^2}= \frac{4 \times 10000}{10\times 66^2} \Doteq 0.918 \%}

 

 \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 2}\quad上の \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 1}\quadの皮相電力20000\mathrm{kV\cdot A}に増加したときの\% Z[\%]の値を求めよ。

 

解答

\displaystyle{ \% Z= \frac{Z \times S}{10 \times V^2}= \frac{4 \times 20000}{10\times 66^2} \Doteq 1.837 \%}

 

皮相電力に\% Z値が比例するので、 S [\mathrm{kV\cdot A}]を明示する必要がある。これは計算を行う人が自由に決めることができる値であり、基準容量という。毎回、基準容量を付記することは``電力回路の技術計算を能率的に行う”という\% Z法の本来の目的から外れてしまうので、日本の電力会社の約束ごととして、基準容量を併記しない場合の基準容量は10000\mathrm{kV\cdot A}と定められている。

 

  \bigcirc\!\!\!\! {\scriptsize 3}\quad送電線のインピーダンス4\Omega、基準容量10000\mathrm{kV\cdot A}、公称電圧275\mathrm{kV}での\% Z[\%]の値を求めよ。

 

解答

\displaystyle{ \% Z= \frac{Z \times S}{10 \times V^2}= \frac{4 \times 10000}{10\times 275^2} \Doteq 0.0529 \%}

 

この例のように公称電圧が高い場合には、\% Z[\%]が大変に小さな値になるので、電力会社の約束ごととして``275\mathrm{kV}系と500\mathrm{kV}系の\% Z[\%]値を表す際の基準容量値は1000\mathrm{MV\cdot A}=10^6\mathrm{kV\cdot A}を標準値とする"と定められている。