2017年 電験1種電力問5

断路器は定格電圧のもとで、単に充電された電路を開閉するために用いられるほか、ループ電流開閉性能や進み小電流開閉性能を要求される場合がある。ループ電流は複母線の変電所で甲母線から乙母線へ運転が切り替えられるときなどに発生し、当該回線の定格電流の80%程度(最大4,000A)の電流を開閉できる能力が要求される。

進み小電流は遮断器で回路を遮断した後に発生し、断路器の開閉時には管電圧が発生する原因となる。GIS(ガス絶縁開閉装置)においては、浮遊静電容量が比較的大きいため、運転電圧の2~3倍程度の急しゅん波サージが発生する場合もあり、この現象に注意する必要がある。

接地開閉器は無電圧の線路や母線部分などの主回路の接地を主目的としているが2回線以上併架した架空送電線路の接地開閉器には、誘導電流開閉性能を要求される場合がある。

断路器や接地開閉器には、誤操作による事故防止のため、一般的にインタロック(緊錠装置)が設けられており、例えば負荷電流を開閉できる位置にある断路器では、関係する遮断器、接地開閉器が全て開路しているときのみ開閉操作が可能である。

【解説】

断路器は、無電流回路を開閉することを原則としたもので、定格電圧の下で、単に充電された電路を開閉するために用いられるものであるが、ループ電流開閉性能や進み小電流開閉性能を要求されることもある。

ループ小電流は、ループを形成する電路または並列回路の常軌使用状態において、その電路中に流れる電流のことで、複母線の変電所で母線を切り替えるときなどに発生し、当該回線の定格電流の80%の電流を開閉できる能力が要求される。

進み小電流は、遮断器で回路を遮断した後、あるいはその逆に遮断器を投入する前の遮断器と断路器との間のごく短い区間の浮遊静電容量の充電電流である。この電流を断路器が背景することにより過電圧が発生する。GISは浮遊静電容量が比較的大きく、開閉する回路長が短いため、運転電圧の2~3倍程度の急しゅう波サージが発生する場合がる。

漏れ小電流開閉性能は、無負荷変圧器の励磁電流を開閉する断路器に要求される。

接地開閉器は無電圧の線路や母線部分などの主回路の接地着脱という本来の用途のために短時間電流の通電性能を有しており、その他に2回線以上併架した架空送電線路の接地開閉器には、誘導電流開閉能力、連続通電容量、ご投入容量及びケーブル形の残留電化放電容量を備える場合がある。また、接地開閉器の接地端子を大地から絶縁して、主回路と大地間の絶縁抵抗測定にも用いられる。

電磁誘導電流は、送電線の両端を設置した状態において、併設回線からの電磁誘導により発生する、残留電荷放電容量を必要とする接地開閉器は一般にケーブルなどの対地静電容量の大きな回路を接地する場合に適用される。

断路器や接地開閉器には、誤操作による事故防止のため、一般的にインターロックが設けられており、電気的インターロックと機械的インターロックがある。負荷電流をを開閉できる位置にある断路器には、負荷電流が流れていないことをかくじつなものとするため、関係する遮断器や接地開閉器がすべて回路しているときのみしか開閉操作ができないようにしている。また、接地開閉器の制御は断路器とインターロックを組み、断路器が回路状態でかつ線路側が無電圧でなければ投入できないようにすることと、接地機構が閉路状態のときには断路器の閉路操作ができないようにすることがひつようである。