2017年電験1種 電力問4

地中配電線路のケーブル布設方法には、一般に直接埋設式、管路式及び暗きょ式がある。直接埋設式は埋設条数の少ない本線部分や引込線部分で用いられ、土中に防護物を並べケーブルを引き入れてから埋設する方式で、ケーブル取り換えの場合には再掘削が必要となる。管路式は、交通量や舗装などの関係から再掘削が困難な場所に求められる方式で、地中箱などの間を複数条のパイプで結んだものであり、ケーブルの引き入れ、引抜き、接続などのケーブル工事に伴う再掘削は不要である。暗きょ式はあらかじめトンネル状の構造物を作っておき、その側壁に設けた受棚上にケーブルを布設する方式である。特に幹線道路やビル街などでは道路の反復掘削防止や地下空間の有効利用などを目的に、電力、通信、ガス、水道、下水などを一括して収納する共同溝が用いられる。このうち配電線等のように需要家供給を目的とした設備だけ収容するものは供給管共同溝と呼ばれ、主として歩道部分に設けられる。

一方、地中設備の建設費用は架空設備に比べて格段に高額なものになることから、現在ではより経済的で試行しやすい施設方式が広く採用されている。例えばCAB(Cable Box)は共同溝の一種であり、主として歩道の下にふた掛け式の大型U字構造物を設置してこの中に電力・通信・その他ケーブルを布設する方式である。ケーブルの工事や維持補修はふたの開閉によって行われ、そのために必要な最小限の作業スペースが確保されている。

【解説】

地中配電線路のケーブル布設方法には、直接埋設式、管路式および暗きょ式がある。

直接埋設式は、ケーブルと周囲の摩擦力が大きいためにケーブルの熱伸縮をよくせいでき、管路式よりも熱拡散が良く許容電流を大きくできるメリットがあるが、一方で外部からの損傷を受けやすく、布設後のケーブル取り換えや増設、事後復旧には再掘削が必要となるため、埋設本数の少ない本線部分、将来の増設計画がないルート、引込線部分、構内など再掘削が容易な場所への適用が適している。布設の際には、砂を詰めたコンクリート製トラフにケーブルを収めたり堅牢な板で上部を覆ったりするなどの防護物を設け、埋設深さは1.2m以上(ただし、重量物の圧力を受けるおそれがない場所では0.6m以上)とする。ただし、圧力に耐えるような布設条件の場合には条件が緩和される場合もある。

管路式は、車輛等の重量物が上部を通過しても破損しない管路にケーブルを収容するもので、再掘削の困難な都市部では、ケーブルの熱収縮の吸収やケーブルの取り換え・増設、事故復旧などの作業を可能とするため、管路の途中や末端にマンホールを設置する場合が多い。

暗きょ式は大規模で敷設コストが高いため、通信線やガス管、上下水道など配電線ケーブル以外も合わせて収納する共同溝に適用されるのが一般的である。共同溝には、主に車道の下に、電力ケーブル、通信線、ガス・上下水道などの幹線導管を収容する「幹線共同溝」、歩道の下に、一般家庭やオフィスなどに直接引き込むための管路を収容する「供給管共同溝」、主に無電柱化のために、歩道の下に電力ケーブルと通信線を収容する「電線共同溝」がある。電線共同溝のうち、CAB(Cable Box)は、ふた掛け式の大型U字構造物を設置したもので、暗きょ式に分類されC.C.Boxは、電力ケーブルや通信線をそれぞれ別の管路に収容して接続部のみを1つに統合したもので、管路式に分類される。