水力発電 1.理論水力と発電出力

(1)流量と連続性

管の中を水が充満して流れている。その流量Q[\mathrm{m}^3/3]は、管の断面積をA[\mathrm{m}^2]、流速をv[\mathrm{m/s}]とすると

Q = A v [\mathrm{m^3/s}]

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 図のように水の流れる管の2点a,bとし、そこの断面積をA_a,A_b、流速をV_a,V_bとすると、途中に水の出入りがなければ流量は変わらないので

Q=A_aV_a=A_bV_b=\mbox{一定}

が成り立つ。これを連続性という。断面積の小さなところでは流速は早くなる。

(2)静水圧と圧力の単位

容器に入った静止している水の表面は、重力の方向に垂直で水平面と呼ばれる。この静止した水の表面からH[\mathrm{m}]の深さのところに面積A[\mathrm{m^2}]の水平面を考えると、この上にある断面積A[\mathrm{m^2}]、高さH[\mathrm{m}]の水柱は、その底面において上方に向かう水の力W[\mathrm{N}]によって支えられ平衡状態にある。この水柱の重量は、水の単位体積の重量を\rho[\mathrm{kg/m^3}]とすると、W=\rho HA g[\mathrm{N}]であり、したがって、底面における水の受ける平均の力P[\mathrm{N/m^2}]

\displaystyle{P=\frac{W}{A}= \rho H g[\mathrm{N/m^2}]}

このPを深さHにおける圧力といい、Pは水面からの深さに比例することを表している。この場合、Pは大気圧を基準にしたものをゲージ圧力といい、これに対して大気圧も含めて考えたものを絶対圧力という。一般的にはゲージ圧力が使われ、

\displaystyle{H=\frac{P}{\rho g}}を圧力水頭と呼ぶ。

(3)ベルヌーイの定理

測っている水の推進をh[\mathrm{m}]、水の密度を\rho[\mathrm{kg/m^3}]、流速をv[\mathrm{m/s}]、圧力をp[\mathrm{N/m^2}]とすると、重さm[\mathrm{kg}]における圧力エネルギーは\displaystyle{ p [\mathrm{N/m^2}]  \times \frac{m}{\rho}   [\mathrm{m^3}]= \frac{m}{\rho} p[\mathrm{J}]}の圧力エネルギーが発生している。エネルギー保存の法則によって、

\displaystyle{ m g h + \frac{1}{2} m v^2 + \frac{m}{\rho} p =\mbox{一定}}

が成り立つ。単位体積で考えれば、

\displaystyle{ \rho g h + \frac{1}{2}\rho v^2 + p = \mbox{一定}}

である。

水深で考えると、

\displaystyle{ h_1 + \frac{{v_1}^2}{2g} + \frac{p_1}{\rho g} = h_2 + \frac{{v_2}^2}{2g} + \frac{p_2}{\rho g} =\mbox{一定} }

となり、hを位置水頭、\displaystyle{\frac{v^2}{2g}}を速度水頭、\displaystyle{\frac{p}{\rho g}}は前述の圧力水頭であり、ベルヌーイの定理は位置水頭、速度水頭、圧力水頭の和が一定と言い換えることができる。

ベルヌーイの定理により、水面よりH[\mathrm{m}]の深さに中心を有する穴をあけたとき、これから噴出する水の速さをv[\mathrm{m/s}]とすると、

\displaystyle{H=\frac{v^2}{2g} [ \mathrm{m} ] }

v=\sqrt{2gh} [\mathrm{m/s}]

が成り立つ。これをトリチェリーの定理という。

(4)理論水力

水の有効落差をH[\mathrm{m}]、流量Q[\mathrm{m^3/s}]の水のもつ理論水力P[\mathrm{kW}]

P = 9.8QH

となる。

(5)発電機出力として取り出せる電力

理論水力から水車と発電機を通して取り出される電力は

発電出力=理論水力×水車効率×発電機効率

で表現できる。