Jordan標準形4 一般固有空間への直和分解

補題 一般固有空間への直和分解

\mathbb{C}上のn次元線形空間Vとする。T:V\to Vを線形写像とする。Tの特性多項式\Phi_T(x)=\det(xI-T)の相異なる根全体を\{\beta_1,\ldots,\beta_r\}それらの重複度をm_1,\ldots,m_rとするとき、f_j(x)=(x-\beta_j)^{m_j},V_j:=\ker f_j=\{u\in V | (T-\beta_j I )^{m_j} u =0\}(j=1,\ldots,r)とおくと、V_jT不変でV=V_1\oplus V_2 \oplus \cdots \oplus V_r

 

証明

V_jT不変であることを示す。u\in V_jとすると

 (T-\beta_j I )^{m_j}(Tu)= T \{ (T-\beta_j I )^{m_j}u\}=T0=0

であるからTu\in V_jである。

 V=V_1+V_2+\cdots+V_rであることを示す。j \in \{1, \ldots, r\}に対し、

\displaystyle{g_j(x):=\frac{\Phi_T(x)}{f_j(x)}} = \prod_{i \neq j} (x - \beta_i)^{m_i}

とおくと、g_1(x),\ldots,g_r(x)の最大公約多項式1であるから、 \exists h_1(x),\ldots,h_r(x)\in \mathbb{C}[x]

 \displaystyle{\sum_{i=1}^r g_i(x)h_i(x)=1}

u\in Vに対しu_i := g_i(T)h_i(T)uとおくと\displaystyle{\sum_{i=1}^r u_i = u}

 実はu_i \in V_iである。実際、Cayley-Hamiltonの定理より\Phi_T(T)=0

f_i(T)u_i = f_i(T)g_i(T)h_i(T)u_i = \Phi_T(T)h_i(T)u_i=0

最後にi\neq jならばV_i\cap V_j = \{  0\}を示す。f_i(x),f_j(x)は互いに素であるから、\exists \varphi_i (x),\varphi_j(x)\in \mathbb{C}[x], \quad \varphi_i(x)f_i(x) + \varphi_j(x)f_j(x)=1

\therefore \forall u \in V \quad \varphi_i(T)f_i(T)u + \varphi_j(T)f_j(T)u = u

が成り立つが、u \in V_i\cap V_jの場合はf_i(T)u=f_j(T)u=0であるからu=0、すなわちu \in V_i\cap V_j=\{0\}

 

Jordan標準形の存在の一意性定理については斎藤正彦先生の線型代数演習が非常にコンパクトです。おすすめです。

【送料無料】 線型代数演習 基礎数学 / 斎藤正彦 【全集・双書】